仏像修復
修復後 木造十一面観音坐像 ヒノキ寄木造 千葉県香取郡東庄町小南690 福聚寺 様 |
修復前
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胴部解体
修理仕様(実施)
本体
①各矧目は一旦解体し、掃除の上鉄釘・鉄鎹を除去した。
②漆箔の浮上りはパラロイドB72の20%〜40%溶液を注入して押えた。
③解体した矧目は麦漆で接合し、銅釘・銅鎹で緊結した。
④小損傷部並びに矧目の間隙は錆漆並びに木屑漆で補修した。
⑤衲衣部等の後補の上塗りは全部はがし、一部残っていた当初の漆箔を残して、他の見苦しい部分は全て堅地を施した上砥ぎ出し、新しく漆箔を押し直した。
⑥頭髪部は補彩した。
⑦仕上げはすべて古色仕上げとした。
台座
①各矧目はすべて解体し清掃した。
②蓮肉、敷茄子、框の泥地彩色はすべてはがし、堅地彩色とした。
③蓮弁は新たに漆箔仕上げとした。
④台座の高さを上げるため、現状の框の下に厚さ約10糎(3寸)の方形の台を新補した。
⑤仕上げはすべて古色仕上げとした。
※使用した合成樹脂はすべて国立東京文化財研究所保存科学部の指示するものを用いた。
解体 保存状態損傷等
本体
①首ははなれ、他の矧ぎ目に緩みが見られる。
②肉身部の漆箔に一部浮上りが認められる。
③頭髪部の彩色は剝落が目立つ。
④衲衣部は当初の彩色と見られる朱彩の上に後補の紅柄様の塗料(漆?)が塗られており、その塗面が全面に亘り、浮上り又は剝落し、下地を露わしている。
⑤右手は手首より離れる。
台座
①各矧目は遊離し、解体寸前の状態。
②蓮弁は脱落するものが多く、漆箔も殆んど剝落し、かろうじて極く一部にその痕跡が認められた。
③蓮肉、敷茄子、框とも泥地の彩色が浮上る。
修復後
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修復前 新潟県指定有形文化財 木造 聖観音菩薩立像(身丈88㎝) ヒノキ一本造 新潟県刈羽郡西山町大字坂田字唐子田1614 観音堂 大法寺保存会 様 |
修復図解
凡例
各矧目は損傷し、鉄釘等はさびて浮上る。
当初部分の虫蝕が著しく、ことに頭部、面相部、上半身部の所々
に錆補修および虫蝕孔が認められる。
底部より見る
解体
修理仕様(実施)
本体
①各矧目は一旦取り外し、鉄釘・鉄鎹を除去の上、清掃した。
②材質の脆弱化している箇所並びに虫蝕箇所はパラロイドB72
の20%〜40%溶液を含浸・注入し、素地の強化を図った。
③解体した矧目は麦漆で接合し、銅釘・銅鎹で緊結した。
④小損傷部並びに矧目の間隙は木屑漆を充塡し、錆漆で補修
した。
⑤補修箇所は堅地を施した上、漆をすり込んだ。
⑥仕上げはすべて古色仕上げとした。
台座
①蓮弁の緩みを直した。
②腰背面の貼付板を檜で新しく補った。
③仕上げはすべて古色仕上げとした。
※使用した合成樹脂はすべて国立東京文化財研究所保存科
学部の指示したものを用いた。